僕たちの平凡な日常とAKB48に、共通点なんてある?

大島優子さんの卒業セレモニーが延期されてしまいましたね。僕も現場にいたので、さすがに中止決定を聞いた時は落胆しました。

大島優子、涙 AKB卒業セレモニーが春の嵐で中止「悔しい」 - MSN産経ニュース

 

AKBでは、卒業のタイミングは基本的に自分で選ぶことが出来ます。卒業をするもしないも、自らの選択次第です。大島優子さんをはじめ、この春、AKB48及びその姉妹グループから卒業することを発表したメンバーはたくさんいました。

 

卒業は、寂しいけど、やはり祝うべきものなので、スポットライトは卒業するメンバーにあたります。逆に、卒業しないメンバーには特にスポットライトは当たりません。当然です。

 

しかし、この記事では、あえて卒業をしないという選択をしたメンバーにスポットライトを当てようと思います。なぜならば、その選択は、僕たちにとって大いに参考になるからです。

 

アイドルは“平凡な日常”を生きている

まず、前提として、アイドルも僕たちと同じように“平凡な日常”を生きています。“平凡な日常”なんて、キラキラしたアイドルの世界と最もかけ離れたものと思われるかもしれません。確かに一見するとそうなんですが、ほとんどのメンバーが抱く悩みというものは、僕たちが日頃抱くような悩みと実は共通しているのです。

 

何が共通の悩みって、“毎日同じ景色”だということ。

正確にいうと、“毎日同じ景色だと感じてしまう瞬間が来てしまうこと”です。

 

僕たちからすれば、アイドルがいる世界はキラキラした世界に映ります。ですが、逆にアイドルにとってそれは仕事であり、“平凡な日常”なのです。毎日レッスンして劇場で衣装着て歌って踊って楽しくMCをして、週末は握手会をして、たまに他の撮影や取材が入ったり、大きな舞台もあったり…。芸能界で活躍するという夢を一旦横に置いて、がむしゃらに頑張る日々。でも、ふと立ち止まると思うことがある。「このまま続けていて大丈夫なのだろうか?」と。

AKBで日々同じような活動をしていく中で、日々それなりに楽しいし、めっちゃ楽しい日もあるけど、ふと立ち止まって考えると、だいたい毎日同じ景色を見ているような気がするなーってついつい感じてしまう、みたいな感じ(ということは僕の勝手な推測ですけど)。

 

ほら、“僕たちの平凡な日常”そのものでしょ?

 

さてさて、みなさんは、“平凡な日常”に遭遇した時、どうしていますか?

「何か面白いことないかなー」と頬杖をついて、窓の外に流れる雲でも眺めていますか?週末の予定を楽しみに、日常を乗り切っていますか?

 

そろそろ、あるメンバーに登場してもらって、その話に耳を傾けてみることにしましょう。

 

AKB48グループでの原体験・山田菜々さんの場合

日々同じような活動をして、それが自分の将来に果たしてどれくらいプラスになるのか疑問を抱き、思い悩んでしまうというのは多くのメンバーの共通の体験であり、悩みのようです。

 

悩みが深いとき、メンバーは卒業を考えます。尾崎豊張りに「この支配からの!!卒業~」ってやつです。しかし、悩んだ末、卒業を踏みとどまったメンバーもいます。

 

AKB48姉妹グループNMB48の最年長メンバー、山田菜々さんです(最年長と言っても、この4月でまだ22歳という若さですが)*1。現在とても勢いのあるNMB48チームMに所属し、ちょうどこの3月のチームM大阪府内ツアーが大成功を収めたところです。彼女は、チームMの次期キャプテンに就任することが決まっています。

 

以下、インタヴュー書き起こし(『NMB48密着ドキュメンタリー てっぺんへの道 Vol.3』)。

ー卒業は考えているか?

山田菜々「正直言うと、辞めようと思ってました。(チームMの)ツアーの最終日にでも辞めてもいいかなと思ってました。でも、いま考えると、Mとしてまだまだ上に上り詰めないといけないのに、何を考えてたんかなとは思う。意思が固まった、最近。それまでは私もふわふわしていた。(でも今は違う)から、辞めない」

 

―卒業を考えた原因は?

山田「毎日同じことを繰り返して、楽しいのは楽しいんですけど、このまま行ってもきっと同じ、1年が一緒でその1年がまた次も一緒で、また次も一緒なんかなと思い始めて、そしたら私はなんでこんなところにいるんやろって思っちゃいました」

 

木下百花「それは多分みんな思うことだよね」

 

山田「だからこそこの(チームMの)ツアーが大事で、すごい。…みんなも、私達もそやけど、同じことを毎日繰り返していたじゃないですか。公演してちょっと取材してとか。お仕事を出来ることはすごく嬉しいんですけど、それがだんだん慣れてくると、あ、今日も同じことしているなっていう風に思えてくるから」

 

このインタヴューは、木下百花さんと山田菜々さんとの対談という形で行われたので、木下百花さんにも登場して頂きました。彼女は、山田菜々さんと同じチームMのメンバーで、とても客観的に物事を見ているタイプのメンバーです。彼女の発言から、みんな“毎日同じ景色”を見ているんだろうなーとわかるわけです。

 

自分を変える?環境を変える?

“同じ景色”に遭遇した時、僕たちはどうすればよいのでしょうか。

単純に思いつくのは、自分を変えるか、環境を変えるかのどちらか。

僕の意見は、次のツイートの通りです。 

 

ツイートの鍵括弧の部分は、「周りの環境は(今すぐには)変えられないけど、自分(の行動や考え方)は(今この瞬間から)変えられる」って意味で使われることが多いと思いますが、僕からすれば「いやいや、そんなすぐ自分は変えられないって」てな感じです。そういうこと言ってるから凡人なんだ、という話ですが、まーそれなら凡人でいいっす、てな感じです。

 

ゲームを変えよう

“毎日同じ景色”に遭遇した場合、僕たちは、将来の目的を見失う気がして、不安を覚えるかもしれません。かといって、自分を変えるほどの根気はない。環境を変えるほどの勇気もない。

じゃあ平凡な日常を送り、目的を見失いそうな僕たちは、どうすればいいのか。

 

「ゲームを変える」、これに尽きると思います。

言い換えれば、「手段の目的化」もしくは「手段と目的の混同」です。

 

ステージ(=環境)を変えることなく 、パフォーマーの能力(=自分)を変えることなく、フィードバックをくれる観客との向き合い方(=ゲーム)を変える。

 

いやー、我ながら、分かりづらい例えだこと…笑。

 

目的までの距離が遠く感じられるとき、僕たちはやる気を失いがちです。

そこでやる気を持続させるためによく提案されるのが、ゴールから逆算して小分けにし目標を近くに設定して、着実にそれらをこなしていく方法です。

しかし、ゴールまでの道のりはそんな簡単な一直線ではありません。そこまで見通しが良いものといえば、圧倒的な数を誇る先人によって道筋が踏み固められ、師によって道が舗装され、方法論が高度に分析されている大学受験くらいでしょう。もちろんその一直線は、見通しはよくともたくさんの障害物や山坂があるものとは思いますが。

 

普通は見通しがわるく、もやがかかった先を進むような感覚を抱くことが多いはずです。今自分がやっていることは、何かしら自分を成長させてくれる、でも本当に将来につながるかはわからない。そのような場面でやる気を失わずに突き進むための方法論、それが「ゲームを変える」です。

 

何かを達成することが目的ならば、成長は目的達成の手段であるはずです。

しかし、成長という手段そのものを目的とすれば、将来への不安にとらわれることは少なくなる。そもそもゴール自体がもやもやして見えていないのだから、ゴールへの方向性はたまに修正すればいい。常に目的を意識しすぎて将来に繋がっているのか不安になりながら手段を選んでいくのではなく、単純に成長できると自分が思えるものにチャレンジしていく。

 

RPGでレベル上げをするときのように、本来は何かのダンジョンをクリアするためにレベル上げをするのですが、レベル上げそのものに没入し、成長を楽しむ。手段と目的を混同させながら、終わりのないゲームを続けていく。

 

さっきのインタヴューの続きがあります。そこで、山田菜々さんはこう答えています。 

 山田「…だんだん慣れてくると、あ、今日も同じことしているなっていう風に思えてくるから。

だからこそ新しく取り組むことに対して、もっと真剣に考えてほしいし、そこでもしかしたら何かのチャンスに繋がるかもしれないって思ってほしい。辞めてほしくないけど、辞めるって言われるたらとめることができないから。これから先、ほんまに保障がないじゃないですか。だから、頑張ったら出来るよ、とも言い切れないし。でもそういう(何かのチャンスに繋がるかもしれない場面がせっかく今こうやって間近にあるから。…それをほんとにいいものにしてほしいな、したいなって思います」

 

「これから先、保証がない。だから頑張ったら出来るよ、とも言い切れない。けれど、今やっていることが何かに繋がるかもしれない」。

 

彼女はこうして、心の平穏を保ちながら、毎日見える“同じ景色”と共存しながらも、挑戦を続けていっているのでしょうね。

実は彼女、NMB48に入る前にもアイドルをやっていた時代があり、一旦は辞めているんですよね。そこから再びアイドル業界に戻って挑戦を続けているからこそ、彼女の言葉には重みがあると僕は考えています。

 

なお、「手段の目的化」もしくは「目的と手段の混同」については、他の記事でも少し言及しています。「「結果が全て」 +「過程こそが大事」=???」では、結果も過程もどっちも大事でしょとか、「僕は意味と友達になりたい」では、意味があるからやるっていう発想はどうなの?とか言ってきました。

 

あのーここまで書いてきて気付いたんですが、僕って価値観のかなり上位に「心の平穏を保つこと」があるんだなってわかりました。他に書いた記事の中でもそれはわかるかもしれません。んまー司法試験の受験当日も、やること無くて暇だったんで毎日瞑想とかしちゃったくらいですし。いや、瞑想といってもただの呼吸法の鍛錬なんで、宇宙と交信したりするわけでもなんでもないですけどね。

 

ってなわけで、“平凡な日常”に遭遇した時の対応は、3種類。

環境を変える。自分を変える。ゲームを変える。

 

みなさんは、どんな対応をとろうと思いますか?

 

最後にの名言を。

『将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできない。できるのは、後からつなぎ合わせることだけだ。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのだ。』―スティーブ・ジョブス

 

それでは、もんもん。

*1:その後、2014年10月15日、彼女は翌2015年4月3日(山田菜々さんの23歳の誕生日です)に卒業することを発表しました。NMB48の初期メンバーとしてまさに屋台骨のような存在であった彼女が卒業してしまうことはとても寂しいことです。