人工知能はこわい。だけど僕らにも愛という武器がある。

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 年末に体調を崩して以降、惰性で生きていますが、正月は特にそうですね。年末にさんざん満喫したはずであった寝るという行為を、正月になっても同じく満喫しております。寝るのはもう飽きたはずなんだけどなぁ。

 さて、昨日NHKのまじで未来的な特番があって見たんですが、結構衝撃を受けたというお話をしようかと。


機械が専門職や中間層から仕事を奪っていく、では私達はどうすればよいか?といった働き方革命的な話は、2年くらい前にリンダ・グラットンの『ワーク・シフト』で読んでいたので、うん、そうだよねと概ね納得できる内容でした。 

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

 

 しかし、音楽業界の最新事情については衝撃を受けました。なんと、作られた曲がヒットするか否かが人工知能によって予測され、その予測結果に基づいてプロデューサーも仕事をしているというのです。僕は、音楽などの芸術系分野とコンピュータは相性が悪いのだろうと思い込んでいました。

「ミュージック・エックスレイ」(Music X-ray)社が開発したのは、音楽投稿サイトに搭載された人工知能だ。この人工知能には、クラシックからジャズ、ロックまで古今東西およそ300万曲のデータを読み込ませて、学習させている。この人工知能は、その過去のデータを基に、新曲のヒットの確率を自動的に予測する。ミュージシャンが自分の作品をアップロードすると、人工知能はその音楽をメロディ、ビートなど70の要素に分解し、分類する。これまでの人工知能の集積では、ジャンルを問わずヒット曲は全部で60の集団に分かれるという。このシステムに当時デビューしたばかりだった歌手、ノラ・ジョーンズのアルバムを読み込ませたところ、ほとんどの曲がヒットすると予測し、実際その年にグラミー賞を取に至った。この会社のシステムは音楽業界の中で急速に浸透し始めていて、大物ミュージシャンを生み出したプロデューサーらが新人ミュージシャンを発掘するのに使うようになった。

NHKスペシャル|NEXT WORLD 私たちの未来

 番組では、自分で作った曲がこの人工知能でヒットすると予測されたことでプロデュースされ、デビューすることができた歌手が出てきます。どれくらいヒットしたのかまでは述べられませんでしたが、次回作にも着手していたので、それなりにヒットしたのでしょう。この時点でなんというか、ヒットが予測されたからヒットしたのではないか、人工知能によってヒットが演出されたのではないか、といった違和感を感じてしまいました。

次回作の作成でその歌手は苦しみます。何度作っても、人工知能がヒットすると予測しないのです。その歌手は、そのうち自分の心が動くものを作ることに専念し、結果的にそれで出来たものは人工知能によってもヒットすると予測され、無事収録に望み、めでたしめでたし、という話でした。

テイラー・スウィフトの『we are never ever getting back together』を一回聞けば、誰しもがいい曲だなと感じるように、何かヒットするものって一回聞けばいい曲と感じる(=人工知能によって予測できる)ものなのでしょうね。


ただ、僕たちは最初聞いた時は全然いい曲だと思わなかったのに、それこそ10回、20回と聞いているうちに、だんだんと「なんかこれ、いい曲じゃね?」となることを経験しています。そうです、AKB48の楽曲です。

AKBの曲は、なんだかちょっとダサくて、歌詞も独特の秋元ワールド、踊っている演者たちもちんちくりんみたいな感じですよね。握手券をくっつければ曲がヒットすることは確実なので、クリエイターたちも冒険ができるのかもしれません。この前の秋に出た『希望的リフレイン』、これ一度聞いていい曲だわーってなった人、僕は知りません。僕も「この曲はやべえ…」ってなりましたし、2chでも散々「【定期】AKB新曲がくそ曲」などといったスレが立ちまくりました。しかし、半年とか1年とか経ってみると「やっぱいい曲じゃね」という論調が増えてきます。俗にいうスルメ曲(噛めば噛むほど味が出るスルメのように、聞くほどに味わいが増す曲)というやつです。もっとも、AKBに限らず、アイドルの曲はだいたい似たような現象が起きるのかもしれませんが。

ここで思い起こされるのは、2012年のレコード大賞AKB48が『真夏のsounds good!』でレコード大賞を受賞する直前に、審査委員長である服部克久氏がした発言「歌謡曲からヒップホップまで幅広い音楽を聞いていただけたと思います。これが日本の歌謡界の現状で今日3時間聞いていただきすっかりこの現状が把握できたと思います。お楽しみいただけましたでしょうか?」。要は、日本の音楽業界はアイドルばっかりでアーティストおらんやんけ!という一種の嘆きなのだと思います。そしてその嘆きももっともで、AKBの楽曲をその質だけで判断した場合、人工知能は決してヒットすると予測しないでしょう。

でも、これって逆にすごく可能性があることだと思いませんか?

人工知能によってヒットするか予測され、実際ヒットしたとしても、次回作ったものでヒット予測が出るとは限らない。大衆は常に"最高の音楽"のみを求め、誰が作ったかより、ヒット予測のお墨付きがある曲を選ぶ。そこには"愛でて育てる"といった概念はなく、ただ音楽が消費され、翌年にはすっかり忘れ去られる。

一方で日本の音楽業界では、人気アイドルやアイドルグループの曲が売れ、人気アニメの主題歌が売れ、人気声優の歌が売れ、一般人が作ったボーカロイドが売れる。正直言って変な曲が多くて、自分の好きなアイドル以外の曲は、理解できない。世界の音楽シーンとは異なるガラパゴス的進化を遂げ、同時にどんどん深化して溝は深まるばかり…。

人工知能が全人類の知能の総量を超えることは、そう遠くない未来、2040年とかには起こるっぽいです。人間は、自分で考えるより人工知能に任せたほうが効率的な人生を送ることが出来る。では、人間にしか出来ないことは何か。効率的でない無駄なことこそ、人間にしか出来ないことなのではないか。今は全く不十分で不完全なものをそれはそれで良いと認めて愛でる、なんていうのは、それこそ効率的なものの対極にあって、人間がそう遠くない未来に選ぶべき道なのかもしれない。

愛する、愛でるという古来から人間が行ってきた行為が、効率を求めてきた現代の人間にとって実は最も新しい先端的な行為になるかもしれない、そしてそのとき日本のソフトなヲタク文化が人工知能では分析しきれないものとしてさらに注目されるかもしれない。

要は、AKBすげえってことです。遠い先までAKBを応援することって実はすげえ歴史的かつ先端的な試みなのかもしれないんですよ。いやー面白いですねぇ。

そんなこんなで、今年一年、僕は不完全な自分を愛でながら引き続きAKBを応援していこうかなと思いました。昨年最後の記事、今しかできないことってなんだろうねで、「2015年、ぼくは環境が変わるのでブログの内容もちょっとは変わるかな?」と書きましたが、予想通り(?)変わらないかも。

 

それでは。もんもん。