夏の終わりって寂しくなるよね

アメリカの昔の首都であるペンシルベニア州フィラデルフィア市に来てから2ヶ月が経ちました。日本にいると基本的に同じような顔の人たちしかみかけないので格差や差別が目につきにくいですが、最初こっちに来た時はスーパーとかファストフードの店員や清掃員がまじでアフリカンアメリカン(黒人のことですね)ばっかりで、予想以上に分断された世界であることに驚いたものです。

さて、ここ2週間ほど、人生で初めてのアレルギー反応とやらが出て、湿疹やら蕁麻疹やら、名称は不明ですが首から下の肌に異常がある最近です。異国の地でこんな症状が出て結構ストレスを感じていて。幸いなことに(不幸なことに?)この2週間は授業がお休みだったので、僕はしこしこと自学に励む予定だったのですが、皮膚の痒みと自分の体に対する嫌悪感に襲われているため、人に会う気も起きないし、そもそも勉強する気すら全く起きない。そして暇。暇だと良からぬことを考えてしまうし、ついネガティブになりがち。

そんなストレスを紛らわすために母国語に触れてリラックスでもしようかなと思って、小説『アルジャーノンに花束を』を読んでみました(原作は英語なので後で原作も読もうという魂胆)。

知的障害を持った男性が手術によって天才になったはいいものの、彼は自分の周りから人がいなくなったような感覚を覚えます。友達はネズミのアルジャーノンだけ。彼、孤独なんですよね。「愛を排除してしまう知性に何の意味があるのか」と模索を続け、最後にはまた知的障害を持った状態に戻っていってしまう様は涙を誘います。

 

孤独感

前置きはさておき、今回の記事は最近僕が感じた「孤独」について。

小説を読み終わった僕が暇と孤独を紛らわすために次に始めたことはスマホでゲームをすること。ソリティア数独、イラストロジック、ジグソーパズル、格闘ゲームなどなど、2日間くらい色々やって、そしてついにパンドラの箱を開けてしまったわけです。三国志系のソシャゲに手を出しました。結構ハマってしまって、3日間ぐらいずっと部屋でやってましたよ。課金もちょいちょいし始めてしまいましたが、課金は(基本的に)やめました。なぜかって?最近こんなツイートを発見したから。

一般に破産すると借金を返さなくてよくなるという免責(責任を免除する)もなされるわけですが、ギャンブルして破産した場合は戒め的に免責されない場合があります。裁判所はソシャゲ破産もギャンブル破産と同様に扱うよということのようです。

それにしてもソシャゲってすごいですね。初めてやってみたなりの感想としてはとにかく金を巻き上げる手口があれこれ本当に巧妙だなと。レベルアップと課金に伴うスピードアップが何より快感。金さえ出せば競争にも勝てるし尊敬も得られるっていう点で、ドラクエやFFに代表される従来型のRPGなどでは得られない快感があるんですね。ソシャゲの課金とかスマホそのものにも中毒性があると言われていますが、僕は今回あえて暇をつぶすためにそれに乗っかってやってみた、と自分では思ってるわけです。

 

中毒の原因

でも、これって結局孤独感が原因みたいです。

薬物依存の原因と中毒者への正しい接し方 - ログミー

病気の治療や痛みを緩和させるために麻薬が使われていることはよく知られたことだと思いますが、そのまま中毒患者になる人はほとんどいません。この記事によれば、中毒の原因は社会的な孤独感だそうです。普通は意志力がないことを責めると思うけど、他人を責めたいなら、そのかわりにどうか抱きしめてあげてください、と。たしかに人間の意志力なんて信用できませんよね。新年の抱負を実行することはおろか、立てたことすら忘れるのが人というものです。

そして今回の僕もまさしく孤独感から逃れるために出た行動だったわけです。

こんなことを呟いた直後に、僕は自分自身を抱きしめることなく結局ソシャゲに走って、無表情のまま小さいスクリーンにかじりついていたたわけですが…笑

 

退屈と孤独と向き合う 

ある程度満ち足りたこの国(日本)において、退屈と孤独という不充足感にいかに向き合うかって人生の2大テーマだと勝手に思ってて(退屈については國分功一郎氏の『暇と退屈の倫理学』がとても面白いです)。

“人間”を撮る写真家、大橋仁。7年ぶりに監督した、高橋優のMV「同じ空の下」で、老人の孤独と悲しみ、その先の希望を切り取る | white-screen.jp

歌の明るさとは裏腹になかなかに衝撃を受けるMVだと思います。退屈と孤独を体現したようなこのような人物が日本には山ほどいるわけです。日本では死後4日以上経過して遺体が発見される高齢者の孤独死が年間1万5603件あるそうです。潜在的にはそれの10倍とかが孤独死の危険をはらんだ状況じゃないかと。

1時間に3人が孤独死?!高齢者だけじゃない、若者も対策を - NAVER まとめ

でも、一方で退屈は創造力の原点かもしれないし、孤独は起爆力の原点かもしれない。僕がこのブログを始めたのも暇すぎてだったし、ウォルト・ディズニーは幼年期の孤独感を一生抱えたままその夢を実現したのだとも言われています。評論家の中森明夫氏は、スティーブ・ジョブズウォルト・ディズニー坂本龍馬山口百恵酒井法子など、世界を変える偉人やスターが抱えてきた猛烈な孤独についてなどのエピソードをもとに、そういった“寂しさ”を肯定すべきものとして『寂しさの力』という本を著しています。本が日本にあるから中身引用できないけど。

 

楽しさの発見

いまフィラデルフィアは日曜日の午後過ぎです。仕事ではありませんが月曜日にちょっとしんどくて結構大事な用事があって、「今のこの体調で行くのしんどいなぁ。でも気合で行くっきゃないなこれは。最後は結局気合なのかぁ」と思っていた矢先、なんだかよくわからないけど楽しみになってきて、気づいたらスーパーへ行く足取りも軽くなっていました。

楽しいことを発見したときの自然な高揚感ってやっぱいいですよね。不充足感を否定するために何かを始めても、それは自然な高揚感ではない。不充足感を肯定したうえで、すでに存在しているものの中から楽しさを発見していく。たぶんこれが大事。

 

そんな感じで僕は異国の地で体調を崩して、孤独で、ソシャゲして、いろんな応援歌に励まされて、ちょっとだけ楽しくて。俺、頑張れ…!!笑

と思ってたら、昔自分が書いた退屈に関する記事があって、頑張るんじゃなくて手段を目的化して成長を楽しめって書いてました。昔の自分、なかなか面白いこと言ってるじゃん。昔の自分にも励まされた。→僕たちの平凡な日常とAKB48に、共通点なんてある? 

 

夏が終わります。終わりはいつだって寂しい。もし仮にいま、あなたが寂しさを感じているのならば、それはあなた自身にとっての新しい季節の始まりを予感させるものなのかもしれません。

 

それでは。もんもん。

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